つよきす2学期


私立の学園「竜鳴館」に通う主人公・対馬レオは2年生。
そして自分達の長期出張中にかこつけて、なまけている息子の性根を叩き直して欲しいとレオの両親に頼まれ、家にやってきた従姉妹の鉄乙女。
そして想いを寄せる生徒会長・霧夜エリカが取り仕切る美人ぞろいの生徒会を手伝う事になる。
平凡だった毎日は確かに慌しくなった。

時はそれから僅か数ヶ月―――
秋の季節を迎え、2学期が始まると同時に主人公のクラスに転入生が来る事が告げられる。

銀色の髪の毛、凛々しい表情、そして美しく整ったスタイル、キリッとした視線。
そしてその手には自分の身長丈よりも長い直刀を持つ女性。彼女の名前は橘瀬麗武。
彼女を中心に、生徒会長・霧夜エリカ、鉄の風紀委員長・鉄乙女、そしてバカな幼馴染の蟹沢きぬ、他人と一線を置く椰子なごみを巻き込み騒がしくなっていく。
こうやってみれば美人ぞろいだけど、やっぱり個性的な連中ばかり。

平凡だった毎日が、以前にも増して騒がしくなっていく…。


≪シナリオ・プレイ感≫
 ツンデレ娘や友人達とのドタバタな日常の中でのラブコメディ・ダイジェスト版。
 ライターはNOB氏。

 別に神格化するつもりは無いですけど、前作『つよきす』は個人的には結構気に入っていますね。キャラも一人一人非常に立っていて良かったですし、ヒロインとの距離が山場を越えて行くにつれて徐々に近づいていくのも描写出来ていましたし。
 その『2学期』と銘打たれた続編ということで、ライターが前作を生み出した書き手であるタカヒロ氏ではないにせよ、それなりには期待して手を出してみたわけですが……何でしょう、これ。
 舞台やキャラなど、オリジナル版で確立された設定を何から何から持ってきて、ただ時間のみを2学期にシフトさせただけなんですが。

 もう開始数分、オープニングも過ぎない内から、どこかで見覚えのある展開のオンパレード。展開のみならず、流れからギャグシーンでのネタ、イベントに至るまでのそこかしこで。むしろ感じない部分の方が稀だという体たらくっぷりを見せてくれます。
 この時点からヤバイものを感じつつ、まあ個別シナリオに入ったらいくらなんでも違うだろうと自分に言い聞かせながら進めていき、数回のみのマップ移動を経て個別に入ってみれば、一縷の望みもそこで潰えましたね。
 個別シナリオですら、最初から最後まで本編でのものをトレースしただけなのを目の当たりにした時はなんというかもう、笑えました。呆れて。
 しかもそれが単純にコピーしたのではなく、本編で重要だった要素を取り除いた上での劣化ダイジェスト版に成り下がっていたのなら尚更に。

 また、各キャラの造形についても、良く似てはいるものの根本的なところで何かが違う感じがする印象でした。上辺は確かに書けていますけど、その内面に対する描写がお粗末に過ぎます。
 キャラの個性が作品の重要なポジションにある作品なのに、本質を理解しないままに描こうとしているとか、普通に致命的だと思いますが。
 乙女さんって、こんな風に非の無い者に対して暴力を振るうような人でしたっけ? 姫って、目指していた目標をこんな風に簡単に捨てるような人でしたっけ?
 そして何より、レオってここまでのヘタレでしたっけ? そりゃあ普段はヘタレ気味ですけど、本気になった際に見せる熱血ぶりが魅力の主人公でしたし、そういう部分があったからこそヒロインが振り向いて、紆余曲折を経た結果として結ばれたと思うんですが。
 なのに、今作ではそういった面を完全にオミットしたことで、自分からは一切何もしようとしない生粋のヘタレとなっています。そのため各シナリオでは、何もしていないはずなのにヒロインといつの間にか親密になり、何に魅力を感じたのか分からないままヒロインから告白してきて恋人に、という事態になっています。

 あと、フカヒレの扱いがかなり微妙……というか、不快感が非常に強かったですね。
 オリジナルの方でもいじられ役ではありましたけど、ここまででは無かったでしょう。何かを言えば罵倒され、理由も無く暴力を振るわれてと。弄るを通り越して完全にイジメの域に達していましたね。
 フォローの類が全くあらず、レオの言動、内面描写においてもただ単にバカにして、見下していてと、はっきり言って不快だとしか思えませんでした。
 作中、至るところでオチはとりあえずフカヒレをコケにして、酷い目に合わせとけば大丈夫だろう、っていうシーンが散見され、ライターの安直さが透けて見えるようで嫌でしたね。
 乙女さんと一緒に勉強する場面があるんですが、悪い意味を指す四字熟語の意味についての問いを乙女さんからされ、その全てに『ああ、フカヒレみたいなののことね』と答えるとかされた時は本当に寒かったです。
 本人がいないところでそんな陰口みたいなことを言うことに対しても、そういう陰険染みたことを嫌っているはずの乙女さんがさも当然のように受け答えしていることに対しても違和感を感じずにいられませんでしたね。ライターの方はこういうのが受けると、面白いと本気で思ったんでしょうか……?

 そりゃあ前作は偉大でしたし、それを受けての今作のライターへのプレッシャーは相当なものになるとは予想に難くないことだと思います。
 ですけどそれならそれでライターなりにオリジナルとは違った展開で楽しませてくれることを、オリジナルとは違ったアプローチの仕方でもってキャラの新たな魅力を引き出してくれることを期待していたんですよ。
 それなのにそうする努力の一切を放棄して、キャラの理解も足りないままにオリジナルの展開を丸写しするとか、擁護のしようが無いと言わざるを。

 タカヒロ氏に見放されたことで、これからのきゃんでぃそふとがするべきなのは彼とは違った、きゃんでぃそふと独自の色を出していくことだというのに、結局やってることは彼の残した遺産を食い潰しての贋作とか、いくらなんでもクリエイターとしてのプライド無さ過ぎだと思うんですが。恥知らずにも程があります。

≪グラフィック≫
 原画家は真広雄海氏。
 CGは全105枚、差分は1〜9枚程度。

 オリジナルと比べると線が細いため最初はちょっと違和感を覚えてしまいましたが、慣れると元のものよりかさっぱりした感じなので悪くはないですね。ヒロイン毎の私服も可愛かったと思いますし。……まあ、室内でダウンジャケットはあれでしたが。
 あと、えちぃシーンでのCGでの胸の描き方が何となく硬い感じだったりだとか、テキストでは挿入していないのに既に挿入しているものだったりとかは気になりましたね。
 ……というか、学校屋上で2人とも全裸で、とかは流石に無いと思うんですが……。

≪サウンド・ボイス≫
 ボーカル曲はKOTOKO嬢でOP『Swift Love〜健全男子にモノ申す〜』、片霧烈火嬢でED『親愛なる君と未来へ』の2曲。BGMは全24曲。
 BGMは全体的にオリジナルからの使い回しですね。それに瀬麗武のテーマや他数曲を加えた感じです。
 様々な曲調のものが揃っていますが、総じて水準の高い仕上がりですね、相変わらず。

 ボイスの方は、テキストの日本語のおかしいところが少なからずある中で皆さん本当良く演じられてるかと。
 全ヒロインクリアで各声優からのボイスメッセージが聴けるようになりますが、微妙に沈み気味なテンションの裏側にありありと不満が感じられるんですが。子○のとかものっそい。

≪システム≫
 フルインストールで3.25G、ディスクレス起動可。
 とりあえず、プレイする上で必要になるような機能は大体付いていますね。ただ、スキップが遅め+アイキャッチをスキップ不可なのがかなりマイナス。特に後者は1日毎の尺の都合上頻繁に訪れるのでスキップの意味が……。

≪えちぃ≫
 シーン回想は全38シーン。内訳としては瀬麗部:6、乙女:6、カニ:6、エリカ:6、なごみ:6、良美:4、素奈緒:4。

 内容としては愛撫、フェラ、パイズリ、シックスナイン、各種体位といったところ。概ねオーソドックスな感じです。
 尺としては普通〜短めといった程度で、あまり濃くもないかなと。
 えちぃシーン入る→愛撫等の前戯描写を経ず、即挿入→描写もそこそこに射精して終了っていうのがメインのため、面白みに欠けますね。
 あと、純愛モノのシーン数としては割と多めな方だと思うんですが、愛撫などのみ本番無しなのも結構あり、水増ししてる感が少し。

≪総評≫
 前作へのリスペクトの感じられない、『つよきす』の皮を被った何か。
 きゃんでぃそふとの作り手としての良心を疑わざるを得ない作品でした。プライド無いにも程がありますねー。恥の概念があったら間違ってもこんな作りには出来ません。
 内容は全く一緒ですので、これをプレイするくらいならずっと中身の詰まったオリジナル版をプレイした方が、遥かに後味も良いかと思います。

 08/05/01


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