つくとり


主人公「橋上郁」は仕事のため武蔵野府に向かっていた。途中、月鳥町で起こった殺人事件の調査に向かう刑事「久十生寧」と出会う。
久十生の要請を受けて、郁は殺人事件の捜査を手伝うことになる。

殺されたのは、研究所に勤める「フォレスト」という身元不明の外国人。彼の死体は、研究所の庭の木に吊るされていた。
死体を木に吊るすという行為に犯人の異常性を感じる郁たちだったが、月鳥町では毎年祭りの季節が近づくと必ず「木に吊るされた死体」が発見されるという。
町の人間たちは、木に吊るされた死体を「ツクトリ様のいけにえ」として丁重に扱っている。
ツクトリなど存在しないと主張する郁だったが、捜査を進めていくうちに、人の手では起こりえないような奇怪な事件に次々と遭遇していく…


シナリオ・プレイ感
 偶然同じ電車に居合わせた刑事により、辺境の村で起きた殺人事件に巻き込まれていく、という話。
 ライターは味塩ロケッツ氏。『フォセット』にて、はじめて知った方ですね。
 また、丸戸史明氏、卑影ムラサキ氏、小林且典氏といった企画屋の方々も書かれています。(


 『序章』、『一日目』、『二日目』と、一つの章を全て読み終える度に新たな章をタイトルから選ぶことが出来るようになっていきます。
 『二日目』をクリアした時点で人問頼子がメインとなる『月鳥の姫編』、弥生、ルルの姉妹がメインの『鬼子来る編』、準、杳たち研究所関連の『八鏡編』が選択可能になり、それぞれのバッドエンドまで読了するとその三つに対しての解答編が述べた順に出現します。
 そしてそれらも全て読み終えると、『月鳥の姫編』シナリオから更に続く完結編、『神代編』が選択できるように。


 全体で描かれるのは閉鎖的な社会での閉じた人間性や価値観の相違、それぞれの持つ信念の違いによって起きる悲劇、民族や宗教について。
 閉鎖的な村人の中で、異物であるよそ者として扱われ味方のいない状況という中であるためか、緊迫感がありますね。ヒロインもほぼ村人なので完全な味方はゼロに等しいですし。
 扱う題材が題材のためか、かなり重い展開が続きます。解答編序盤の綺子や弥生、ルルの境遇とか……。


 選択肢などはなく、プレイヤーは話を読んでいくだけなのでゲーム性はほぼ皆無に等しいですね。
 しかし、次から次へと提示される謎やそれへの解答、それによって起きる矛盾や真実が、飽きさせずに読ませてくれます。
 出題編となる三編では謎がほとんど解けないためか少し冗長な気はしましたが、それ以降の解答編からは夢中でプレイ出来ましたね。
 与えられた情報を読者として推理しながら、次の展開はどうなるのかとか、あの謎はこうだったんじゃとか、いろいろ考えながら読ませてくれます。

 解答についてもいくらか強引な点もあるにはありましたが筋は通っていましたし、何より一切のご都合主義なオカルト要素に頼らずにきっちりと徹頭徹尾人間とトリックで締めたことは十分に評価すべき点だと思います。


 劇中何度もリンチや輪姦、近親相姦といった場面が挿入されるため、そういうのが嫌いな人にはきついかな、とは。惨殺描写などもいくらかありますし。
 題材のため、しょうがない部分ではあるんですけど。
 
 
 気になった部分としては、全体的にギャグが寒いこと。まあそれでも重いシナリオを緩和する役には立っていますが、シリアス部分でも無理矢理ギャグを入れてくることがそれなりにあるのが難点。
 あとは、最初に提示され、最後の最後で明らかになる伏線を使った叙述トリックが解りやすかったですね。
 トリックによって隠そうとするものについてある単語のみが不自然に欠けた形で書かれますし、それに対しての登場人物の反応が見せかけようとしているものとは考えづらいもののためか。弥生がもつものを考えれば、一日目の時点で解けますし。
 もうちょっと上手く隠せば明らかになったときのカタルシスは更に増したことでしょうし、惜しいところです。

 ……これは欠点とは違うんですが、拉致やらそれの送り先のモデルが間違いなく某独裁国家だったりとか、某国民でないと幹部になれないカルト集団のモデルが某創○にしか思えなかったり。
 大丈夫でしょうか、ruf。


グラフィック
 原画はぼうのうと氏。枚数は85枚、差分はそれほどありません。
 ブ○ーポップの人の絵柄に見えて仕方ありませんね。……まさかパソゲで氏の絵を見る日が来ることになるとは中学生の頃の葉月には想像も出来ませんでした。
 前作『ユメミルクスリ』では某禁書目録の人が描いてましたし、次は誰が来るのか。

 この作品で唯一の泣き所ですねー……。
 全体的に安定しておらず、立ち絵とCGで別人と思えることもしばしば。脇役キャラだと更に。
 というか、ルルが絵的に21歳とは思えません。


サウンド・ボイス
 OP、EDはDuca嬢の『ひとひら』、『ありがとう』。
 どちらも極端にアップテンポになることのない、落ち着いた曲で聴いていて苦になることはありませんね。

 BGMは18曲。幻想的な曲調、ダークな曲調のものがメインでしょうか。
 使い方も悪くなく、緊迫させる場面とかはしっかりと緊迫させてくれますね。
 最後の謎が解ける場面での『ひとひら』のボーカルなしバージョンは燃えました。 

 ボイスの方はルル役の方が少し棒読みなきらいがあった程度で、あとはさして問題はなかったです。


システム
 フルインストールで1.1G、ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作はしません。

 プレイしていて気になったのはスキップ機能がかなり遅いこと、ホイールでバックログは可能ですが話を読み進めることは出来ないこと、バックグラウンドで動かないため、音楽鑑賞中に窓を切り替えるとまた最初からになる、といったところ。


えちぃ
 回想は全11シーン。
 凌辱系のが半分ほどを占めてますね。グリューン関わりまくりです。
 その他のは和姦ではありますが、純愛ではないかと。そう分類出来るのは綺子の二つぐらい。
 ……雪も残る冬の夜に外で、っていうのはきついんじゃないかなーとか思ったりするのは野暮でしょうか。ナチュラルに凍えれると思うんですが

 綺子:輪姦(研究所)/手コキ、フェラ、正上位(廃校)/愛撫、正上位、後背位(廃校傍野外)
 弥生:両穴バイブ(研究所・グリューン、静馬からの凌辱)/パイズリ、フェラ、対面座位、放尿(森下家離れ)/拘束、浣腸(研究所・グリューン、静馬からの凌辱)
 ルル:キス、クンニ、正上位(森下家離れ)
 杳:愛撫(研究所屋上、グリューンから)
 グリューン:フェラ、足コキ、パイズリ、アナル後背位(研究所傍野外)
 準:キス、フェラ、立位、後背位(野外)


総評
 絵さえ許容出来れば、今年全体を通しても十分トップクラスの出来。
 骨太で読みがいのあるミステリーを読みたければ、プレイして損はまずないでしょう。 



もどる