黄昏に煌めく銀の繰眼


「今の自分を変えてみたいか?」
灰色の隙間に射し込んだのは逢魔が時の空の色。
夕闇に立つ少女の発したその一言が、俺の灰色に沈みこんだ日常をぶち壊した。

「思うがままに生き、今までを覆すような力を手にして、そこから這い出したいか?」

朱から紫、紫から闇。
夕陽の光も瞬く星の輝きも、全てを呑み込み圧倒するグラデーションの中で俺のなにかが変わっていく。
俺の暗く沈んだモノトーンの日常が、妖しい少女の笑みと共に鮮烈な色彩を帯びた世界へと変貌する。
力と共に漏れ出す、なんとも言えない禍々しさすら覚える笑い。
俺の中で抑え付けられていたものが解き放たれるその予感と、この手に与えられた力の可能性が、久しく忘れていた夢と希望を思い出させる。
気力も湧かず、ただ流されていた俺の中に泡立つような活力が漲り、足元にまとわりつく気怠さからその身体を押し上げる。
息苦しい泥沼の中から、ついに這い上がれる時が来た。

俺に与えられた時間は13日間。
――そして、俺に与えられたのは、人の心をねじ伏せる力。

「ふふっそうだ。せいぜい楽しむがよい。13日間をな。」

……楽しめ、だって?ああ、楽しんでやる。
俺のことを見下してくるあいつら。俺の周りに付きまとってくるわずらわしいあいつら。
俺の視界の中で嘲笑っているあいつら……。
そんな奴等に抑え付けられ、押し潰され、嘲笑われていた日々から、俺はこの力で解放される。
……そうだ、今度は俺の番だ。
今までの分を、取り戻してやる。抑え付け、押し潰し、嘲笑ってやる。
俺が満たされなかった分を、この13日間ですべて取り戻す。

――満たされるのなら、取り戻せるのなら、この俺に14日目の朝は必要ない。


≪シナリオ・プレイ感≫
 ライターは氏の名。

 これまで抑圧され鬱屈していた感情を晴らすため、ふとしたことから得た他人を操るギアス繰眼を使ってヒロイン達を蹂躙していく話。
 前作『こっすこす!』ではほぼ完全に和姦モノとなっていましたが、今回はこのチームの処女作である『凌辱学園長』と同様、かなり暗い雰囲気の強い作品となってますね。
 『13日後に大切なものを奪われる』のが他人を思うままに操る繰眼の力の代償となっているため、ヒロイン全員をクリア後に解禁される愛唯グッドエンド、その後追加されるトゥルーエンド以外、大半のエンドは後味悪いものとなってます。命を奪われるとかそういうのではないものの、精神のどこかがぶっ壊されるようなのばかりだったりと。

 とりあえずはまあ、そういうテイストは悪くなかったと思いはしたんですが……正直、期待してたほどじゃなかったかなー、という印象。この作品単体で見るならまあそれなりな作品とは思うんですが、『チームアニスの作品』として見てしまうとどうしてもこれまでと見劣りしてしまうように。このチームは『凌辱学園長』、『こっすこす!』と問題なく高評価出来る作品が続いてただけに、余計にマイナス面が際立って見えたように思います。



 まず不満の原因の一つとなっているのは、ヒロインの数が11人と単純に多過ぎること。
 全体のシーン数は79と大体これまでと同じくらいで据え置きとなっているんですが、そのくせヒロイン数は倍以上となっているため、1人1人のシーン数が必然的に少なくなってしまってますね。前作までの半分程度と。それでも1人当たり大体8シーンぐらいはありますし、決して少なくはないんですが、やはり物足りなさっていうのはあったように。
 どのヒロインにしても基本的に前半4シーンは堕とすための前段階としてオーソドックスよりなシチュでの下準備、後半4シーンでハードなプレイで本格的に堕としていく、みたいな構成となっているんですが、せめて後半部にもうちょっとボリュームが欲しかったかなーと。
 オープニング後は基本ヒロイン選択→えちぃシーンの繰り返しとなるためキャラ描写も弱めですし、それぞれ何かしら特化したものがあるわけでもないので印象薄いヒロインも多いですし……、これだったらもっとヒロイン数を絞った方が良かったですね。

 加えて、他人を操る能力である繰眼の使い方がどうにも上手くなかった、という印象が個人的には。
 対象の眼を見、命令することでそれを相手に従わせるという、まあどっからどう見てもコードでギアスな能力となってるんですが、その能力が相手に干渉していくような描写がほとんどなされないため、ただ従順に命令を聞いてるだけに見えてしまって。命令をした直後にはもうそれが適用されるため、いまいち特殊な能力と思えないところはあったような。
 もうちょっと、能力を使われた際は虚ろ目になるみたいな描写をテキストや演出で見せた方が良かったと思います。

 また主人公にしても半分以上のヒロインにおいて、最初のシーンで主人公に好意を持つように、もしくはそういう行為をしてもおかしくないと繰眼で思わせてから行為に及ぼうとするため、全体的にかなり和姦寄りなテイストが強めとなってるのはどうかと思ったり。というか、『繰眼を使った相手と恋仲になってはならない』とかしっかり忠告されてるのに何で和姦に走りますかこのヤローは。
 前半でのオーソドックスなシチュは元より、後半にあるようなSM、露出、輪姦やスカだろうとさしたる抵抗無しに受け入れてしまうため、凌辱モノを求めてる身としてはかなり興醒めなところが。嫌がっていても繰眼によって結局やらされることにはなるものの、上記のこともあって見た目には従順ですし。
 そりゃあ当初の状態からすれば壊してるのは確かですし、実際には望んでないことをさせてはいるんですけど、あまりそう受け取り辛いところはあったように。個人的にはもうちょっと、嫌がり抵抗するのを蹂躙し屈服させていくようなのの割合が多くてもと思いましたね。双海や美奈子でのシチュのように、思考はそのままで身体だけを操られ、屈服させられる、みたいな。和姦風味なのもあっていいとは思いますけど、割合としてはもう少し抑えて欲しかったです。
 『凌辱学園長』みたく、徹底的に弄び犯した末の結果が救いのない終わり方というならまだしも、中途半端に甘みを加えているためにエンド後の後味はかなり悪かったですね。



 あと、個人的には義母である季江の扱いはもうちょっと何とかならなかったかなーと。彼女自身のルートは無く、日数を無駄に過ごした場合のバッドエンドとして1シーンある程度ですし。
 一応数ヒロインのルート終盤で一緒に犯され色々な男に処女を奪われたりはするものの、主人公を虐げてきた元凶なワケですし、もっとしっかりと主人公自身の手で報復を行うようなルートがあっても良かったと思いますね。そんな取ってつけたようなのじゃなしに、自分がしてきたことを心の底から泣いて謝らせるぐらいのを。

≪グラフィック≫
 原画家はくまっち氏、はましま薫夫氏の2名。
 CGは全103枚、内訳は愛唯:11、双海:10、くるみ:10、アシュリー:9、向日葵:9、暁良:11、玲:9、さら:10、美奈子:9、季江:1、ニア:5、その他:2。
 差分は2〜40枚ほど。

 全体的に可愛く描けていますし、えちぃシーンでの肉感なんかも悪くなかったですね。精液なんかの汁気はもうちょっと存在感強くしても良かったですが。
 ただ、『凌辱学園長』、『こっすこす!』なんかと比べると、良くも悪くもアクが薄いというか、インパクトに欠けるところはあったように思いますね。無難にまとまってる、というか。

 ……しかし、体験版でも少なからず感じたことなんですが、断面図がなんか安っぽく思えてしまうのは気のせいでしょうか。ゴムで出来た器具でも見てる気分になるんですが。

≪サウンド・ボイス≫
 ボーカル曲は薬師るり嬢でOP『spider』、BGMは全18曲。
 BGMは日常シーンなどでの明るめな曲調、えちぃシーンでの静かなのや陰鬱な曲調のものがメインでしょうか。出来としてはそれなりに良かったんでないかと。

 ボイスについてはかなり人数多めではありますけど、特に下手と感じる方もいなかったですし、概ね上手く演じられてたかと思います。それを活かせるような作品でなかったのが残念。

≪システム≫
 フルインストールで3G、ディスクレス起動可。
 近頃のクロックアップ系列で使われてるシステムですね。プレイする上で必要になるような機能は揃ってますし、各種設定も充実しているので不満に思うことはなかったかと。

≪えちぃ≫
 シーン回想は全79シーン。内訳は愛唯:9、双海:8、くるみ:8、アシュリー:8、向日葵:8、暁良:8、玲:8、さら:8、美奈子:8、季江:1、ニア:4、その他:1。

 シチュとしては他人を操る能力『繰眼』を使い精神や肉体を操ってのものがメインですね。そうでないのもなんぼかはありますが、かなり少なめです。
 まあそれは良いんですが、シナリオの方でも述べたように主人公の能力の使い方がアレなせいか作風に反してかなり和姦テイストなのが多めとなってますね。双海や美奈子については思考はそのままに身体だけを操って、といった感じではあるんですが、それ以外のヒロインについては見た目和姦なのがかなり多いです。そりゃ実質的には意に反することをさせてるんですが……。
 なんというか、入れるシチュを間違ってるように思いましたね。そういうのは入れても2、3割かそこらに抑えて、ダークな凌辱シチュに重点を置いた方が良かったと思います。

 プレイ内容としては愛撫、フェラ、シックスナイン、自慰、パイズリ、道具、各種体位、アナル、輪姦、露出といったところ。
 どのヒロインにも共通して、前半4シーンはオーソドックスなもの、後半4シーンはハード寄りなもの、といった構成となってますね。それ自体は別に構わないんですけど、似たような展開を何度も見ることになってしまうため、だれてくるところはあったように。
 また、それぞれのシーン数が少ない関係からなのか限られたシーン数で様々なシチュを満遍なくやろうとしているため、このヒロインといえばこれ、みたいなシチュが薄かったように思います。
 やっぱり、もうちょっとヒロインを絞ってそれぞれに違ったバリエーションやら変化を付けるなどした方が良かったと思いますね。数出せば良いってものじゃありません。

 質についてはそれなり、といったところでしょうか。悪くはないんですけど、これまでと比べるとやはり見劣りする出来。前2作のいっそ過剰とすら思えるくらいの尺の長さから一転、平均程度の長さとなっているため、ねちっこさが失われてる印象でしたね。どのシーンにしても割り当てられたCGは1枚程度なのもあってなのか、前戯を抜きにいきなり本番とかざらだったりと。

≪総評≫
 駄作、とまでは行かないものの、かなり期待はずれな印象は否めませんね。これまでの作品と比べると、確実に劣化してると言わざるを得ない出来でした。ヒロイン数が多すぎて1人1人の分量が薄まっていたり、なぜか和姦の分量がやたら多かったり……。
 特殊能力である繰眼の使い方もいまいち上手くないですし、全体的に中途半端な作品に仕上がってしまっていたように思います。

 09/09/05


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