恋騎士Purely☆Kiss


俺、藤守要は幼い頃、騎士に命を救われたことがある。

火の赤と瓦礫が辺り一面に広がったあの日。
なんでもできると思っていた万能感が、無力な自分という現実の前に崩れ落ちたあの日。
だけど、俺の心に焼きついたのは絶望ではなく、俺を助けてくれた騎士の姿だった。

あの日、俺は誓った── いつか “誰よりも多く、大勢の人を守れる騎士になる” と。

時は流れ。騎士育成の専門校である白宮学園に俺は入学する。
学園で俺を待っていたのは、ある騎士団への入団だった。
白宮従騎士団 “エスクワイア”── なんでも学生の騎士団登用を見直すための試験騎士団らしい。
そして、これから共に騎士団として活動する仲間たちとの出会い。

キラキラと輝く金の髪が目を引く、綺麗な剣筋の持ち主、エルシア=ハーヴェンス。
明るく元気で、いきなり飛び掛ってきた貧乏娘、風間明莉。
いつでもお嫁に行けそうな家庭的スキルを持つ大企業グループの社長令嬢、獅堂真奈。
飛び級までした完璧超人な自慢の妹、藤守由宇。
そして騎士団長であり、学園の3年生でもあるおっとりお姉さん、国中佳織。
……
……あれ、女しかいない……? どういうことですか、学長? は? 男は俺1人……!?
大丈夫だよな……大丈夫……だといいなぁ。

なにはともあれ。先行きの不安を残しながらも、こうして俺は騎士としての第一歩を踏み出した──


≪シナリオ・プレイ感≫
 ライターは藤原休樹with企画屋氏。

 人々を守るための存在として『騎士』が存在する世界、それを養成するために創られた学園の中、その見習いとして一緒に集められたヒロインたちとの共同生活を描いた話ですね。
 騎士として、同じ学園の仲間として一緒に過ごす中でお互いに惹かれあうようになっていく、といった流れとなっており、作品としては概ねオーソドックスな恋愛モノ、といった感じとなってます。

 とりあえず、プレイしての印象としてはあまり素直に評価は出来なかったかな、と。
 ヒロインや世界観の設定、CGの質など、素材自体は悪くないですし十分良作となる下地はあったように思うんですが、テキスト面にしろCG面にしろ料理の仕方があまり上手くないためか、どうにも中途半端な作品、といった感が拭えなかったですよね。作品を通して何を描きたかったのか、どういった方向性にしたかったのかがいまいち見えなかった、というか。



プレイしていて特に目に付いたのは、作品の特徴でありシナリオの中心でもある騎士の設定の練りこみが足りていないこと。
 街中を騎士団が巡回してパトロールして住民の願いを聞き、何か事件が起こればその捜査に当たっていくといったように警察の役割を騎士団が担う世界観になっているんですが、どうにもその設定ありきで進むというか、騎士が存在する理由付けが薄かったように思えましたね。現代日本+騎士というコンセプト自体は悪くないものの、中世やファンタジー世界が舞台ならともかく現代にあるにはリアリティに欠けるのは否めませんし、それを持ち込む以上はその設定に説得力を持たせる描写はもっと多くすべきだったと思います。
 コメディや実用ゲーといったあまりシナリオ要素を気にしなくてもいい作品ならスルーも出来ますが、そういうノリなわけでもないですし。

 というか、騎士という設定自体があまり重要なものとして扱われていないんですよね。
 オープニングで発生する事件以降の共通ルートは基本的にヒロインと過ごす共同生活がメインとして描かれ、その合間に訓練や巡回、ちょっとした捕り物みたいな描写が挟まれてくる程度ですし、個別ルートにしても恋人となったヒロインと過ごす生活やえちぃシーンがほとんどを占めていてシナリオ部分もヒロインの抱える問題に焦点が当てられるため、正直騎士設定が無いならないでぶっちゃけほとんど問題無さそうで。
 共通から続く敵との因縁の決着を果たすこともあってシナリオの本筋らしいエルシアルートなんかはそれなりに騎士についての描写が挟まれてくるものの、他のヒロインに比べたら、といった程度ですしね。
 加えて戦闘場面にしてもテキスト上では割かしさくっと終わりますし、演出にしてもあまりCGが割かれずタイトル画面で使われてる剣を構えたヒロインの一枚絵の流用+効果エフェクトで済まされるたりなのでなんだかなあと。とりあえず、敵役ポジションに一切立ち絵とか用意されてないあたりでこの作品における扱いの程度については大体お察し頂けるんじゃないかと思います。

 そうしたことを抜きとしてもあまりシナリオ要素となる部分に尺は割かれませんし、正直シナリオに期待すべき作品ではないかなと思いますね。描写自体もあっさりとしており、話を深めるためには必要だろうという部分の肉付けも端折り気味に感じるところも少なくないため、話としてはかなり薄く思えてしまいました。明莉ルートとか、エスクワイア全員で彼女の問題を解決するため奔走することになった場面の直後のシーンでやっぱり駄目でしたとかされたりでしたし。や、そこを描写しないでどうするんだと……。



 で、そうした騎士設定についてはあまり考えず、単純に萌えゲーとしてみればとも思うんですが、個人的にはこちらについてもちょっと難があったかなと。
 ヒロインは可愛いと思いますしCGの出来もあって造形としては悪くないんですが、全体を通して取り立てて大きなイベントがあるわけでもないためかどうにも印象が薄いんですよね。
 ヒロインと出会ったばかりの序盤はともかく、基本的にヒロインからの主人公への好感度が高く、恋愛描写にしても個別に入ってから主人公・ヒロインとお互いに恋愛感情自覚して恋人に、といった感じなので目立った進展があるわけでもないせいか。日常生活や訓練場面でラッキースケベなイベントが各所に用意されてはいるものの、頻度がやたら高いためちょっとありがたみが無いように思えましたし。
 また、個別ルートにしても恋人同士でのいちゃいちゃを押し出して進行していくのは良いものの、恋人同士で過ごす日常をいくらか描写したらすぐにえちぃシーン、といった流れの繰り返しとなっている上、ルート自体の尺も共通と比べてかなり短いのでいまいち萌えに集中で出来なかったように感じますね。えちぃシーン自体の出来は悪くは無いと思いますが突出しているわけでもないですし、やはり半端なところが。
 
 加えてここら辺は原画も絡むんですが、イベントを演出するためのCGがかなり少ないことも印象を薄くしている原因になってますね。 
 ドアを開けたらヒロインが下着姿だったり訓練の最中アクシデントで身体を密着したりといったハプニング場面やえちぃシーンには結構な量が割かれているものの、それ以外の萌えイベントなんかはほとんどCGは使われずに立ち絵のみで進行するため、何でここでCG無いのかと思える場面は少なからずありました。せめてデートイベントにはいくらかでも割くべきだったかと。
 というか、サブヒロインである佳織、ベルにも一応いくらかルートあるんですが、用意されてるCGがえちぃシーンの1、2枚だけなのはどうよと思うんですが。



 ……と、何というか、全体的に力を入れて描くべき部分とそうでない部分とのメリハリがどうにも上手くないように思えたんですよね。
 騎士という独特な設定を使っているのに描かれるのは日常シーンや訓練風景ばかりであまり活かせているとは言えませんし、かといって萌えを楽しもうにも良い雰囲気になったらすぐにえちぃシーン、といった流れがほとんどなのでいまいち楽しみづらかったですし。
 共通ルートはその長さの割に盛り上がりどころとなる戦闘シーン間の間隔が開いていて日常ばかり描かれるため冗長気味でテンポを悪くしてしまっていましたし、その分を世界観の設定やヒロインとの恋愛描写への肉付けに当てるなりしていればもう少し違ってたんでないかと思いますね。
 上でも書いたように素材自体はかなり良かったのは確かでしたし、上手く使えていれば十分に良い作品に出来たと思えるだけに残念でした。



 他に気になったのは主人公の扱いでしょうか。実際よりもいやに持ち上げられ過ぎに思えました。
 作中最強のキャラからのお墨付きで学園に採用された、という設定の割に剣の腕前はエルシアや佳織の方が上ですし、作戦指示を与えるリーダーも真奈が勤めるため、微妙に立ち位置が中途半端に思えましたね。中堅というか鉄砲玉というか。
 加えて、やたらと独断専行したがるきらいが強いのもちょっと。危険が潜む場所に仲間への連絡することなく近づいて結局迷惑を掛けて他に責任が行き、学長or佳織に諭されて反省→最初に戻るの流れを何回繰り返してるんかと。
 こうした主人公ではよくある展開ですし、序盤の騎士になったばかりで功名を焦っている時期とかエルシアルートラストみたいな状況なら分からないでもないんですが、この主人公の場合特に反省した描写なしに繰り返すので正直好きませんでしたね。学園長のお墨付きだからって調子付き過ぎだろとか嫌味言われないのが不思議なレベル。
 そらまあ変に悪し様に罵られるよりかはマシではあるんですが、かといって実際以上に持ち上げられまくるのもそれはそれで冷めるものがありましたね。自分以外に思いっきり責任負わせているくせ、皮肉抜きに『自分の行動に責任を持った立派な騎士〜』とか言われるのは……。

≪グラフィック≫
 原画家は憂姫はぐれ氏、SPR魔人氏の2名。
 CGは全86枚、内訳はエルシア:20、真奈:17、明莉:19、由宇:20、佳織:2、ベル:3、その他:5。

 透き通っているというか、清涼感のある絵柄ですね。可愛らしくありつつも、ヒロインの持つ凛々しさみたいな雰囲気を良く出せているように思います。全体を通して崩れることも無く、塗りと併せて非常に安定した質を保って描かれてますね。
 とりあえず鎧のデザインが鎧の役割果たしてないだろこれwとか思わなくもありませんが、この点に関しては素直に申し分の無いレベルだったかと。あと妙に脇出し我多いのでそれに何かを感じる人には堪らないんでないかと思います。

 ただ、難点なのは上でも書いたようにCGの枚数が少なく思えることでしょうか。内訳の枚数的にはそれほど問題ないんですが、日常イベントなんかで使われるSDキャラのミニCGも1枠として登録されるため、通常のCGの枚数は言うほど多くないんですよね。なので実質的には 1人
 それでもそれなりの数はあるものの、大半がえちぃシーンや日常シーンでの服や鎧がずれて胸や肌が見えてるといったイベントでのものに割かれているため、シナリオを演出する部分がCG無しで立ち絵のみといったことが多いのはちょっとマイナスに思えました。

≪サウンド・ボイス≫
 ボーカル曲はカヒーナ嬢でOP『Dream-Catcher』、古都美珠嬢でED曲『Embracing』の2曲。BGMはボーカル曲のショートVerを除いて全22曲。
 BGMは日常シーンでのほのぼのとしたものや賑やかな雰囲気のもの、戦闘シーンでの緊迫した曲調のものと揃っており、質にしても概ね水準以上と言ってよかったと思いますね。

 ボイスについても特に下手に感じるような方はいなかったですね。概ねそのキャラに合った演技をされていたように思います。

≪システム≫
 フルインストールで3.54G、ディスクレス起動可。
 プレイする上で特に気になるようなことは無かったと思いますね。強いて挙げればタイトルからクイックロードが出来ないことくらいで。

≪えちぃ≫
 シーン回想は全22シーン。内訳はエルシア:5、真奈:5、明莉:5、由宇:5、佳織:1、ベル:1。

 シチュとしては全シーン、ヒロインと想いを伝え合い、恋人同士となった後での和姦となってますね。お互いに想いあいながらの甘い雰囲気の中での行為、といった感じで。基本的には主人公から攻めるものとなってますが、ヒロインの方から積極的に奉仕したりするのも結構多めです。

 プレイ内容はキス、愛撫、フェラ、手コキ、足コキ、シックスナイン、各種体位、といったところ。他のメンバーが近くにいる中で手コキしたり指でアナルを弄りながら行為に及んだり、ヒロインの1人がガチ実妹なので近親相姦だったりといったことはありますが、まあ基本的には恋愛モノらしく、あまり奇をてらったのはなく全体を通してオーソドックスなプレイがメインですね。

 大体のシーンは前戯→本番と2ラウンドあり尺も割かしありますし、恋愛モノとしてはそれなりに良かったんでないかとは思いますね。ただまあ、個別ルートはえちぃシーンを中心として展開していくわけなんですが、それなりの域は出ないため、中心にすえるにはちょっと力不足だったと思いますね。

≪総評≫
 全体を通して、いまいち何がしたかったのかが曖昧な作品でしたね。シナリオにしても萌えにしても、色々やろうとして中途半端になってしまっていた印象。
 素材自体は非常に良かったですし、もうちょっと料理の仕方を変えていれば十分に良作足りえた作品だったと思うだけに残念でした。

 12/01/06


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