キラ☆キラ
~カーテンコール~


【第一部】
素人ばかりの新人バンド・第二文芸部バンドがひと夏のライブツアーを敢行してから、数年後。
鹿之助たちが学園を卒業した後、『第二文芸部バンド』の名は女子軽音部に引き継がれていた。数々の伝説のおかげか音楽経験者の入部希望も多く、その年度ごとの優秀な部員で結成される『第二文芸部バンド』は、本家に負けないハイクオリティなバンドとして改めて高い評価を受けている。
逆に、衰退の一途をたどっているのは『男子軽音部』。女子軽音部に比べ目的意識が低く、『音楽を楽しむ』という名目のぬるい空気に満ちていた。
主人公・誉田宗太はその男子軽音部所属。宗太は、とある理由で、『第二文芸部バンド』を超える演奏を披露しなければならなかった。その理由とは、現在の『第二文芸部バンド』のギターとボーカルを務める『吉本結衣』。結衣は宗太の昔からの片思いの女の子にして、何をやらせても宗太より一枚上手な最大のライバル。宗太は結衣に『お前を超えたら、俺と付き合って貰うからな!』と言い続けているのだ。
結衣を彼女にするための、さし当たっての舞台は文化祭。『そこで第二文芸部を超える演奏を見せれば、結衣も俺のかっこよさに気づくはず!』やる気満々の宗太に対して、部の先輩たちは文化祭を目前にしてもあいかわらずの調子。
果たして文化祭の結末は? そして宗太の(一方的な)恋の行方はどうなる!?!?!?

【第二部】
学園を卒業した後、念願の自分のバンド『HAPPY CYCLE MANIA』を結成した村上。いろんなトラブルを乗り越え、ようやく一人前のバンドとして人気も出てきたこのタイミングでトラブル発生! ボーカルのアキがメジャーでソロデビューすることになり、バンドのボーカルが居なくなってしまった。
まぁ、この程度のトラブルはバンド業界では良くあること。なんとかなる。村上自身もそう思っていたが、なぜか今回に限って、前向きになれない。これまでのこと、これからのこと、余計なことを考えすぎてしまい、なかなか先に進めない。
『村上が、村上らしくない』。小さなささくれでしかなかったそれは、いつしかハピマニ分裂の危機を招いてしまう。
メンバーそれぞれが考える、それぞれの理想、夢。それらが交錯する中、村上が見つけた答えとは? はたしてハピマニの、そして村上の将来はどうなるのか?


≪シナリオ・プレイ感≫
 ライターはTeam N.G.X。

 『キラ☆キラ』本編から数年後の学園の第二文芸部と軽音部を描いた第一部と、本編での親友キャラだった村上を中心に据えたオールスターでの第二部から構成された外伝作品ですね。
 本編は結構鬱寄りなところもあり、エンドにしても手放しに全てが全て上手くいくようなものではなかったですが、今回は爽やかな青春モノのテイストに特化した感じですね。後先考えず、バカみたいに突っ走っていく、といった。
 本編のライターだった瀬戸口氏が引退して別の方が書かれてますが、下手に氏の作風を真似られて中途半端に鬱展開にされるのもアレですし、こうしたことは悪くなかったと思います。
 ただ、個人的には村上メインでの第二部は割かし好きだったんですけど、第一部の方はいまいち微妙に思えた……というのが正直なところ。理由については後述しますが、どうにも受け入れ辛い部分が多く見られてしまって。

 あと、作品全体を通して見られた欠点なんですが、短くまとめようとし過ぎているきらいがかなり感じられましたね。
 場面と場面の間の繫ぎとなるシーンを描かずにいるところが散見されるため、どうしてそうなったのか、どうしてそんな気持ちを抱いたのか、といったことがいまいち分かりにくいというか。ついさっきまで険悪だったのがいきなり仲良くなってたり、主人公がすぐそこにいるだけで怯えてたはずの相手が次の場面では自分から普通に近づいてきたりと、書くべきところすら端折ってしまっており、どうにも雑な印象を受けてしまいました。

 加えて、そうして過剰なほど肉抜きしたせいか非常に短く、プレイ時間がかなり短くなっているのもマイナスですね。第一部、第二部通してプレイしても5、6時間程度あれば終わります。ファンディスクということを差し引いても短いです。
 なので、コストパフォーマンスの面では正直微妙と言わざるを得ませんね。流石にこの長さで8000は無理が。特典で付いてくるライブCDもファンとしては大きいですが、それと合わせたら値段相応か、というと人にもよるでしょうし……。



 以下、各話の感想です。

≪第一部≫
 片思いの相手を自分に振り向かせるため、彼女の所属する第二文芸部に対抗してバンドを結成したあるバカの話。
 前述の通り、個人的にはいまいちと思えましたね、こちらについては。『目標に向かって突っ走っていく』という流れ自体は嫌いじゃないんですけど、ちょっと見せ方が悪いというか……。

 まず、女性キャラの出番が非常に少なめっていうのはエロゲとしてはどうなんだろう、と。もう少し華があってもいいような。
 新たに組んだバンドのメンバー(野郎オンリー)との交流が描かれるばかりで、大半の女性キャラが脇役のポジションになってしまっているんですよね。メインヒロインの結衣と本編主人公の妹である裕子なんかはそれなりに出番ありますが他と比べていくらか、という程度ですし、それ以外に至ってはほぼ皆無と言っていいくらいしかありません。せめて、立ち絵のある第二文芸部メンバーのサブキャラを掘り下げるくらいはして欲しかったです。

 また、女性の出番が少ないために、シナリオの目的として重要なはずの結衣の心情描写がおろそかになっているのもいただけませんでしたね。主人公に対して好きなのか嫌いなのか、どう思っているのかが伝わってこないというか。開始当初は主人公に怯えてたはずなのに数分後には脈絡無く自分からすぐ近くに座って話しかけてきたり、100メートル以内に入るなと言ったはずなのに次のシーンでは普通に電話してたりとちぐはぐだったりもしますし。ラストで唐突に『自分も好きだった』と言われますけど、もうちょっと丁寧に感情の変遷を描写して欲しかったですね。

 で、多分これが一番気になったことなんですが、主人公がいまいち好きになれなかったことは大きかったと思いますね。最初から思考がパンクでついていけないようなことが多くて正直、あまり感情移入は出来なかったかなあ、と。本編では普通の一般人だったのが徐々にロックンロールな思考へと調教されていくのが描写されていたのですんなり受け入れられたんですが。

 見てていらいらしてくるんですよね、何というか。見ようによっては愚直なまでにまっすぐ、とも取れるんですけど、衝動のままに行動し過ぎなのが目に余って。
 他人の考えや都合を汲み取ることを全くせず、自分の意見のみ押し付けて突っ走ったり、他人の好きなものをバカにするくせ、それに怒った相手が自分の好きなものをバカにしたら切れたりと、自分の価値観や行動は絶対に正しい、そして他人はそれを分かって賛成するのが当然、同じことをするのが当然、みたいな考え方で好きませんでしたね。
 あと、能力の無いものがあがいてあがいて目標を達成するっていうのはベタですが燃えますし好きなんですけど、この主人公の場合自意識過剰過ぎなきらいがかなり。十分な力量が無いのに演奏して、それを聴いた観客からダメ出しされれば『何でこの魅力が分からないんだよてめえら!』って感じですし……。若いが故の向こう見ずっていうのは大事だと思いますけど、なんぼかでも謙虚な姿勢を見せて欲しかったです。
 まあ中盤からラストにかけて何だかんだで成長して大分ましにはなりますし、ラストは結構燃えましたね。最初から最後まで結衣一筋を貫き通したのも好感持てますし(そのため他ヒロインと恋仲になる展開などは無く、えちぃシーンが結衣との1回のみになっているのは置いといて)。ただ、あれだけ好きだ好きだ言っといて、いざ違う目標見つけたら彼女に目もくれずに姿を消したりとかするのはどうなんだろう、とか。

 ……しかし、和樹の病気設定は必要あったのかとは思いますね。それまでそれっぽい描写もそんなに無かったですし、あからさまに取ってつけたみたいで。それに不治の病設定は本編でもやってるわけですし、二番煎じな感は否めません。

≪第二部≫
 バンドの将来、自分自身のこれからに不安を抱く村上の話。
 本編、第一部と、新旧キャラでのオールスターで綴られる話ですね。
 キャラ毎に出る時間はそう多くなくて、もうちょっとそれぞれの出番を多くして各々を活かせればもっと良い出来にもなったように思いますけど、本編ファンとしてはキャラのその後が見れたので概ね満足は出来ましたね。
 ラストでの一夜だけの復活を遂げたスタージェネレーションと元祖第二文芸部、村上も復活したハッピーサイクルマニア、あとスーパーロックンローラーズとオールスターでの本編主題歌『キラ☆キラ』は見てて熱いものがありましたし。
 でも出来ればあの部分はもっと見ていたかったですし、各組それぞれの曲を聴かせて欲しかったとは思いますね。和樹の書いたっていう曲も結局やらずじまいで終わりましたし。

 第一部のヒロインは個人的に微妙に思えましたが、こちらのヒロインである眠り姫ミルは結構良かったように思いますね。
 結衣と比べて描写も出来ていましたし、村上との掛け合いは楽しかったです。ぽわぽわしつつも好意を向けてくるとことか可愛かったですね。
 えちぃシーンが存在しないのが残念っちゃ残念ですが、遠からず結ばれて幸せにやってけそうだなとか妄想しときます。邪魔する要素も無いですし。

≪グラフィック≫
 原画家は片倉真二、藤丸氏の2名。
 CGは全41枚、差分は1~15枚程。

 本編では立ち絵の無かったキャラ、今回が初のキャラと、本編とは違い藤丸氏が担当してますけど、個人的にはこっちのが良かったんでないかなーと思う部分は少々。新旧キャラが並んだとこを見ると実感しますが、片倉氏のは頭と体のバランスがどうにもおかしいところがあるんですよね。一枚絵では特に不満はないんですけども。

 ……というか、こういうのは突っ込むのは野暮なんでしょうけれど、主人公の赤に染めた髪を直すよう叱られるイベントがありましたが、赤や茶色の髪のヒロイン出てる中そんなことされても説得力ないよなあ、とか。

≪サウンド・ボイス≫
 ボーカル曲はオールスターでの『キラ☆キラ~ALL STAR~』、二代目第二文芸部での『Wing your way』、『君のTurn!』、『Wishes』、スーパーロックンローラーズでの『Bad trip dive』の5曲。
 やはり音楽面には力が入ってる感じですね。どの曲も安定して良い曲だったと思います。『キラ☆キラ』は場面も相まって熱かったですし。私的には『Wishes』も結構好きですね。

 BGMは概ね本編からの流用でしたが、今回も音楽鑑賞モードがないので数は分かりません。質が高めなだけに、鑑賞モードで聴かせてくれても良いと思うんですけどねー。
 
 ボイスの方も相変わらず特に問題無いかと思います。新旧キャラと良く演技されてました。ただ、第二部では第一部主人公にもボイス付き、加えて本編の主人公にもボイスが付いてるため、そういうのが苦手な人は注意かな、と。

≪システム≫
 フルインストールで740MB、ディスクレス起動可。
 プレイしていて特に不便に感じるようなことは無かったですね。必要になってくるのは大体揃ってますし。

≪えちぃ≫
 シーン回想は第一部での結衣との1シーンのみ。

 シチュとしては双方同意の純愛和姦、プレイ内容はフェラ、シックスナイン、正常位と、オーソドックスな内容となっています。本編の方はほとんど力を入れられてませんでしたが、今回はそれなりに尺がありますね。

 ただ、やはり全体を通してこの1シーンだけっていうのは物足りないものがありましたね、流石に。第一部主人公がヒロイン一筋ですから他ヒロインとのが無いのは仕方ないんですが、それにしたってもう少しあってもと。この1シーンについてもいきなり彼女から好きだと言ってきてのものでいまいち付いてけませんでしたし。

≪総評≫
 少なからず不満はありましたが、本編が好きだったんであればそれなりに楽しめるんでないかと思います。
 ただ、コスパについてはかなり微妙ですので、余裕があったらやるくらいが丁度良いですね。

 08/08/19


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