プラゥヴ クルイード
しゃくなげ


魔法、呪術――人によって為される【奇跡】。
その多くは科学技術文明の発展と共に、歴史の表舞台から姿を消したかに見えた。しかし科学の発展は、ゆっくりと、だが確実に【奇跡】を理として解き明かしていた。
そして21世紀も最早過去となった時代、人々は【奇跡】を自然科学によって説明される分野の一つ【ソーサリー】と捉えるまでに成長していた。
世界は【ソーサリー】を科学技術の助けを得て使いこなす者を【ソーサラー】と、そして何ものの助けも得ず奇跡の如く【ソーサリー】を使う者を、古よりの呼び名【魔法使い】と呼んだ……。
学園都市【試しの門】、を中心とした独立都市だ。
主人公賀茂勇次は、【魔法使い】の名門賀茂家の長男として産まれたにも関わらず、一切【ソーサリー】関連の才能がないおちこぼれだ。
おかげで跡取りである義妹の六花の保護者兼手伝いとして、自分の入学式も休まされて彼女の入学式に付き合う羽目に。
入学式――世界中から【魔法使い】が集う名門【試しの門】学園、そしてその学園を中心とした【ソーサリー】溢れる独立学園都市【試しの門】の住人となること。
落ち零れ勇次には縁もゆかりもないこの街で、彼のちょっと変わった青春活劇が幕を開けようとしていた……。


≪シナリオ・プレイ感≫
 魔法を使えない主人公が、魔法使いの名門校に入学する話。
 ライターは縞ぱん氏。

 まあ、はっきり言ってプレイしていて全然楽しいと感じられない作品でしたね。
 全体的にシナリオが短く(普通にやっても10時間以内、急げば半分程度でフルコンプ可)、内容的にも一応伏線の回収は出来ているものの盛り上がりに欠け、見るべきところはありません。世界観から展開から、最近某少年誌で最終回を迎えた作品のパク劣化オマージュですし。
 薫や花子とか、シナリオ自体何で存在するのか分からないくらいに内容薄いですし入れた意味が正直。薫とか、設定では六花のライバルとかなってるんですから普通にそれ活かせないものかと思うんですが。

 キャラについても、その背景や内面の描写が全く出来ておらず、個性付けもかなり弱いですね。
 主人公など、魔法使いしかいない学園で1人魔法を使えない苦悩とか、それを乗り越えていく場面とか色々描けそうなものだと思うんですが、そういった悩みにはさらっとしか触れられませんし、成長の過程もちょっと特訓したり式神とえっちぃことしたらすぐに強くなるので望むべくもありません。
 また、とりあえずは萌えゲーに分類される作品なんでしょうが、内容の短さによりそういったイベントもほとんど無く、キャラに魅力を感じることもありませんでしたね。

 テキストの方もかなり微妙でした。ライターの自慰感が非常に漂ってきて。
 まず、主人公、ヒロインと誰彼構わずに下ネタを言わせ過ぎ。たまに挟んでくる程度ならまあ許せるとしても、かなり頻繁に、それもシリアスな場面だろうとやってくるのは引きましたね。
 また、むやみやたらにライターの愚痴なんかの内輪ネタを入れ過ぎ。書いてる側としては面白いだろうと思ってるんでしょうが、制作上の愚痴を作中で語らせるな、と。書くなら書くでそんなユーザーにとってどうでもいいものは自分のブログか何かでひっそりとやって下さいって話ですよ。『自分らはこんなに苦労してこの作品を作りました!』っていうのを外にアピールしたいんでしょうか?
 あと、某庭やら某怒りの日をコケにしたりしてますが、それと同等以下の作品でそんなの言われても失笑買うだけだと思いますよ?

 …………あー。でも、こんな全体的に印象の薄い作品ではありましたけど、他を軽く凌駕するくらいにものすごく印象に残っている部分はありましたね。
 メインヒロインであり、主人公の義妹である六花はその個性が異常に際立っており、プレイヤーの記憶に色濃く残るものだったように思います。ここまで印象に残るようなヒロインもなかなかいないでしょう、本当に。
 そのくらいにキャラ立てとしては成功してましたねー。おかげで向こう数年は嫌でも心に残ると思いますよー。
この作品においての最大級の癌として。

 何でこんなキャラにしたのか、本気で理解不可能なヒロインでしたね。
 全編に渡って被害妄想持ちで癇癪持ち、常時他人を見下して物事を悪し様に捉え、他者と接する際は喧嘩腰、何の理由も無く暴力を行使し、他人の迷惑なんてこれっぽっちも考える思考を持たない、正真正銘の人格破綻者。本気でどうかしているキチ○゛イ。
 冒頭部、妹が荷物をバッグに詰めまくってたのが原因で妹の式神がファスナーに挟まれていたのを主人公が助けるイベントがありますが、その後の妹の思考が感謝ではなく、『どうやって復讐してやろうか?』にシフトするという時点で十分過ぎるくらいにこの女がどういう性格なのか理解して頂けるかと思います。『厚意』に対しての返答が『復讐』という辺り、本心からライターの感性を疑いましたね。クレイジー過ぎて一瞬目の調子が狂ったかと思いましたよ……。
 もう、徹底的に無軌道・無秩序・無慈悲と、悪魔超人だってここまでしねえよと思えるキャラですね。
 加えてプライドのみがバカみたいに高く、常に状況を悪い方へのみ動かし、シナリオ面でも常に自己中で何の役にも立つことは無かったりとどうしようもありません。客観的に見てもこの妹が少しでもまともなことをした記憶が絶無なんですが……。エンディングに至っても自己中かつ自分勝手な性格は全く直っていませんし。

 しかし、見ていてここまで気持ち悪くて仕方なかったヒロインは過去に類を見ませんでしたねー。
 散々心無い言葉の数々で罵倒し、一切の非が無いのに当たり前のように本気で殴り、蹴りつけ、足を踏みにじり、自分に非があろうと絶対に認めず他人(主に主人公)に責任転嫁してと。で、そんな風に嫌われる真似しかしないくせに、主人公が他のヒロインを見てれば激怒したりと、本当意味が分かりません。
 ライターとしては多分、『普段は素直になれないツンデレ』を演出したかったんじゃないかとは思いますが、ここまで失敗している事例はそうそう無いでしょう。
 他人からの厚意に対して感謝を覚えることも、自分の非を素直に認めて反省することも出来ない、そんな人として当たり前の常識の一切が欠落したのの、一体どこに魅力を感じろっていうんでしょうか。

 主人公の思考や他のキャラのセリフで『そういうところが可愛い』だの『照れてるから』だの言われてますが、それが全くフォローの役割を果たしていませんでした。六花自身、普段悪く言ってるけど、内心では……といった描写がまるで無いですし、そもそもそれまで積み上げに積み上げたマイナスが、ほんの少しデレてプラスに転じた程度でチャラになるわけが無いんですよ。それくらいで笑って許せるような悪行じゃありません。
 おまけに、主人公を見下している理由が『昔は自分よりも強かったのに、今はあまりにも情けないから』とかいうものなんですが、シナリオ中主人公が実際に自分より強くなって昔の状態に戻ってみれば、『兄貴が私より強いなんて許せない』とか言って激怒、悪役の甘言に乗って都市崩壊の危機にまんまと加担することになったりと、本気で何がしたいんですかよこのアマは。
 そもそも、昔から一緒にいたなら主人公が自分に対してそうなった理由について少しくらい察せるようなものだと思うんですが。

 というか、設定で努力家とか言われてますがそういった描写が皆無で説得力が全く無かったですね。その代わりに自分の力に驕り過ぎな描写は入れてきたりと、随分とまあ大した努力家ですね、とは思いますが。
 また、冷静沈着とかいう設定の割に常時狂犬の如く目上だろうと誰だろうと構わず喧嘩売ってるんですが、それのどこをどう好意的に受け取れば冷静沈着なんて正反対な位置に属する単語が出てくるんでしょうね?
 で、それにより玉砕してトラブルに巻き込まれようと、自分は助けてもらって当然、当然のことに感謝する必要は全く無いといった思考の持ち主ですから救いようがありません。

 せめて改心するようなイベントが少しでもあればなんぼかはましだったんでしょうけどねー……。主人公に頬を打たれるとか、ライバルに倒されるなんかして間違いに気付くとか。
 それさえあったら少しくらいは溜飲下がったでしょうけれど、そうしたことは全然無しに徹頭徹尾反省の無い性格が全編で見せられ続けるため、終始大変不愉快な気持ちでプレイさせられましたね。

 ……というか、六花と合わせて考えると、主人公の性格も結構あれでしたね。
 自分に才能が無かったことで六花に重荷を背負わせた負い目を感じ、支えることを決めたっていうのは理解出来ますし、立派だと思いますよ? けど、あそこまで日々仕打ちを受けてまで、卑屈になって付き従う必要は無いだろうと。
 ですけど、個別で六花に入ると良く分かるんですよ、この主人公の性格。
 振り回され、罵倒され、八つ当たりに八つ当たりを重ねてきた相手がほんの気まぐれに見せた笑みに『感情の起伏が激しくて可愛い』とか思えるような、奴隷根性の持ち主っていうのが。
 この主人公のどんなに酷い仕打ちを受けようと少し甘い顔されれば全部チャラに出来るような神経には萎えましたねー。そりゃあ妹も増長しますよ……。

≪グラフィック≫
 原画家は双竜氏、なるみすずね氏の2名。
 CGは全108枚、差分は1〜7枚程。

 まあ、概ね可愛らしく、特に問題は無い出来だったかと思いますね。えちぃシーンのはそうレベル高くないですが、ビジュアル面のみ見れば萌えゲーとしては及第点な水準だとは。
 ただ、男性キャラの絵柄はちょっと微妙かなと。生徒会長の立ち絵とか、他から浮いていて妙に気に食わなかったですねー。また、ブロートも年齢の割に瞳が何であんな可愛らしい感じなんでしょうか。

≪サウンド・ボイス≫
 ボーカル曲は佐藤ひろ美嬢でOP曲『MY HONEY SPRING』、成瀬未亜嬢でED曲『Rainbow』、BGMは全23曲。
 大体の曲はほのぼのとした日常シーンでのものですね。ボーカル、BGMともにそれほどレベルは高くなく、心に残るようなものではないかと。
 
 ボイスの方は特に問題無く、皆さん良い演技されてますね。
 ただ、今回の木村あやか嬢は良い仕事をしているだけに、それがかえって六花のマイナス面にマッチしている印象を受けましたね。悪い意味ではまり過ぎていて。

≪システム≫
 フルインストールで2.45G、ディスクレス起動可。
 基本的なのは概ね揃っていますね。ただ、エフェクト周りがいやにくどくてテンポを崩しています。クリックでスキップ出来るなど、配慮はしておくべきだったかと。

≪えちぃ≫
 シーン回想は全19シーン。内訳としては六花:4、アルフヒルド:4、薫:3、睦月:3、花子:3、クレハ:2。

 シチュとしては全シーン和姦ですね。六花とかで純愛になるのが釈然としませんが。多分陵辱とか入っても一切心揺らがない自信あります。
 プレイ内容としては、愛撫、フェラ、シックスナイン、パイズリ、各種体位と、まあオーソドックスな感じですね。あとはアナルや、花子ので緊縛やら露出が少し入る程度。
 劇中でも唐突に入って必然性がまるで無く、内容的にも尺は短く、質もそう高くは無いため見るべきものでもないかなと。

≪総評≫
 確実に駄作にカテゴリされる部類ですね。シナリオ、キャラ共に極めて酷い出来。よっぽどMでも無い限り、プレイするのは絶対にオススメ出来ません。
 怖いもの見たさなら止めはしませんが、プレイ後ディスクを叩き割りたくなること必至。

 08/06/08


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