ピアノの森の満開の下


櫻乃の命はあと、一週間。
布団の上でただ死を待たせるより、妹になにかしてやりたかった。
少しでもいい、人生を楽しいものに彩ってから終わらせてやりたかった。
だから、僕らは旅に出た。
二人きりの旅に――

運命に導かれるように手に入れた切符(チケット)。
それを手に。SLに乗ってたどり着いた先は、不思議な診療所(サナトリウム)。
診療所(サナトリウム)の住人、木花さんと共に僕と櫻乃は残りの貴重な日々を過ごすことになる。
一日ごとに近づく死。
僕は、櫻乃の残りの人生の為、なにをしてあげられるのだろうか。

僕たちの――最後の一週間が始まる


シナリオ・プレイ感
 偶然手に入れたチケットの行き先のサナトリウムで過ごす、妹との最後の七日間を描いた物語。
 ライターは若瀬諒氏。

 攻略対象は櫻乃、木花の二人。櫻乃にはノーマルとトゥルー、二つのエンドがあります。
 基本的に二択の選択肢で分かりやすいですし、進みたいシナリオの方を選んでいけばいいので簡単かと。
 多分、攻略順は櫻乃ノーマル→櫻乃トゥルー→木花シナリオと固定されてるってところでしょうか。

 正直、プレイした感じだとノーマルエンドの方がかなり良かったような気がしましたね。
 山奥のサナトリウムで過ごす穏やかな日常、けれど、その中でどんなに元気そうにしていても、健気にに振舞っていても、段々と発作を起こすようになっていき、体も動かなくなっていき……少しづつ終わりへと向かう櫻乃が、見ていて切なくて。
 オープニングで最後の別れから始まることもあり、その結果が初めからわかっているからこそ、それへと近づいていくのが辛いものがあります。
 それでも、その終わりの先であるラストシーン〜エピローグの流れでは不覚にも。狙ってることは十分に分かりましたが、来るものがありました。
 果たされた櫻乃との約束と、いつかまた出会えることを願ってのしばらくの別れ。この流れは本当に綺麗で。

 ただ、それに比べるとトゥルーシナリオの方はなんかなー……、と。
 ノーマルとはうって変わってのオカルト展開と、七日間という日数制限から来る展開の早さが。
 一応このルートでは櫻乃も生き残るわけなんですが、描写足らずで何だか唐突に奇跡が起きて助かった、みたいな感じがして安っぽいものになってしまってましたね。
 木花シナリオもまた、それと同じく不思議要素全開なSF展開でしたし。終わり方もかなり適当な感が。

 別にオカルト要素が悪いわけではありませんけど、それを前面に出してメインを張るべきではありませんでしたね。
 ノーマルの方でもそういった要素はほんの少しあるにはありましたが、あくまで一部、話の邪魔をしない程度のものでしたし。

 あとちょっと気になったのは、それまでそういった記述もなく実妹だと思っていたのに告白されたシーンでいきなり義理でしたとか言われても、と。
 別段実妹スキーなわけじゃありませんし他意はありませんけれど、この際最後まで実で通した方が話に深みが出てよかったように思いますね。
 いやにとって付けた感が強いですし。正直えちぃのための言い訳みたいな印象が強かったです。義理っていうことに触れたのがその一回、主人公の思考の中のみでしたので余計にそう思えます。(もう片方のシナリオの方では義理の辺りに触れられてましたが)
 また、これは本編の短さのためとあって仕方なくはあるような気がしますが、主人公の気持ちの変わり方が性急だった気がいくらか。
 櫻乃からの好きだという告白、素で『兄として』好きだと返して、それが女性としてと知るといきなり自分も『女性として』好きだったとかいったりと。
 まあそれはノーマルシナリオでのことでトゥルーシナリオの方では義妹になった経緯は描写されてはいましたが、↑でのこともあってそこまでプラスにはなってませんでした。

 あと、正直抱きつく音とか頷きとか(ぎゅうぅぅ〜)や(こくっ)とかいった擬音じゃなく、地の分で表現して欲しかったですね。

グラフィック
 原画はとろろ氏。まつ毛が紅いのは仕様です。
 CG枚数は全48枚、差分は2、3枚程度と少なめ。ハーフプライスと納得しておきます。

 細く、淡い色調の絵柄で嫌いではないんですが、えちぃシーンのときなど、たまに崩れた感じがあるのが気になりましたね。体の縮尺がおかしかったりと。
 また、シナリオ上それなりに大事な部分のテキストとCGの内容が矛盾してるのが気になりました。EDの主人公の髪とか。

サウンド・ボイス
 ボーカル曲はOP『此ノ花咲ク頃』、ED曲『散・花・桜』の2曲。
 印象には残らないまでも、作品には合っていた曲だったと思います。

 ボイスはヒロイン二人とも榊原ゆい嬢。
 一人二役ということでしたが演じ分けも十分出来ており、特に問題なかったですね。ヒロインの可愛らしさを引き出せてるように感じました。 

システム
 フルインストールで870MB、ディスクレス起動可。

 既読スキップやクイックセーブ・ロードなど、基本的なものは揃えられているため、プレイしていて不自由することはありませんでした。

えちぃ
 回想は全9シーン。内訳としては櫻乃:6、木花:3。

 オーソドックスなシチュばかりで薄めですし、取り立てて言うことはなかったですね。
 2ヒロインとも処女喪失シーンが二つ用意されているくらいでしょうか。
 あと正直、放尿シーンのみで1シーン使ってる意味がさっぱりでした。

総評
 一週目での感動を二週目、三週目の超展開がかなり足を引っ張ってしまってる印象。
 終了後のおまけでの榊原ゆい嬢へのインタビューが結構充実してますし、ファンならそれ目当てでやってみても。

 07/09/06


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