パルフェ
〜Chocolat Second Style〜
アルケミスト



半年前、火事によって焼け落ちた喫茶店『ファミーユ』
そこに関わった人達の心に傷を残しつつも、段々と落ち着いた頃。
そんな折に、一つの電話が主人公、高村仁に舞い込んだ。


中世ヨーロッパの町並みを再現した大型ショッピングモール『ブリックモール』
そこに店を出さないかという提案。
周囲に反対されつつも、以前の仲間とともに、ファミーユを取り戻そうとする仁。


真向かいには、同コンセプトのアンティーク喫茶、『キュリオ』
その二番煎じであるファミーユは、圧倒的な差に奮闘を余儀なくされる。

開店前夜、無人の店内に響く、澄んだ歌声。
声の主はバイト志望の少女、由飛。
突然舞い降りた天使のような彼女の笑顔と歌声に、
仁はなんとなく、何とかなりそうな気がしてしまう……。


テキスト
 瑞奈・美緒以外はPC版の丸戸史明氏の差し替えです。
 新キャラ二人のシナリオと既存キャラの追加イベントは企画屋のお二人。ですが非常に『パルフェ』らしい、読ませる作品に仕上がっていたと思います。
 時折誤字もありましたが、総じてレベルの高いテキストだったと思います。。


グラフィック
 原画はねこにゃん氏。可愛らしい絵柄ですね。淡く、それでいて線のしっかりとした絵柄です。
 たまにちょっと濃い目の塗り方のCGがあったりするのは気になりましたが、非常にそれぞれのキャラが可愛く描かれていると思います。

 PC版ではえちぃCGが大体半分を占めていたためか各キャラに割り振られてるCGがそんなに多くないですね。
 文章が良いため気にはなりませんでしたが、もうちょっとあっても良かったかなとは。


音楽・ボイス

 PS2版の主題歌はOP・EDともにクローバーの歌う『わからない果実たち』、『アザヤカな勇気』。
 ……オリジナル版の『Leaf ticket』、『つまんない恋』も入っていたためかちょっと微妙かなーとは思いました。
 PC版でも思いましたが『つまんない恋』はイントロじゃなくして欲しかったのが正直なところ。
 
 PS2版での新キャラ以外はPC版オリジナルの声優かPS版の声優かに選べます。
 以下、新声優版キャラボイスを聞いた感想。

 由飛…なんか違うんですよねぇ……。
 玲愛…松永雪希嬢には遠く及びません。
 明日香…舌っ足らずなとことか出来て無くない?
 かすり…びみょ〜。
 恵麻…同上。
 里伽子…超淡々としてるなぁ……。いや、ダウナー系なのには違いないんですが、なんか棒読みな感じが。
 瑞奈…『こんなん瑞奈じゃねえ!』(魂の叫び)
 美緒…そんなに悪くは。まあPC版に出てたら違うこと書いてる気がしますが。

 こう言ってはあれですけど、明らかにオリジナル版の声優>(越えられない壁)>(断崖絶壁)>PS2版の声優って感じかと。
 やってるうちに慣れるかなーと思ってましたがどうにも違和感が拭えません。
 ……なんていうか、PC版に慣れてる、っていうのはあるんですけど、それでもPC版の方が上手いと思います。
 キャラの魅力を引き出す演技力というか、そういうのがまるで違いますね。


システム
 全体的にストレス無くプレイできました。スキップもかなり早く、やり直すとき助かりますね。
 エピローグから最初まで戻れるバックログなんて初めて見たんですが。そこからロードも出来ますし、親切設計です。
 セーブも終了するときに一気にする形式で、セーブ自体も早いです。


キャラ別感想 (ネタバレ注意!)

高村仁

『お前が笑えなくなったら、意味が無いんだ!
 お前が幸せじゃなきゃ、俺は嫌なんだよ!』


 主人公。欧風喫茶『ファミーユ』店長。筋金入りの卵マニア。

 周りから重度のシスコン、家族偏愛主義者と呼ばれるように、家族のことを何よりも大切に考える人。
 ファミーユの再開も、家族の象徴だったファミーユを取り戻したいという一心から。
 そのために大学を休学するのも辞さないなど、見ていて好感が持てましたね。
 里伽子シナリオではこの主義が物語の火種となりますが、それでも終始そのスタンスを変わらずに貫くのは格好良いです。


川端 瑞奈

『じゃあ、もっと頑張んなきゃね、パパさん?』

 PC版でのサブキャラ。移植にあたりメインヒロインに昇格。
 キュリオ三号店のフロアスタッフで、玲愛の友人。酒乱。

 オリジナル版からビジュアルも変わって好印象ですね。ほにゃーっとした笑顔が可愛いくて好きなキャラです。
 恋人になってからの二人の初々しさはもう見てられません。

 シナリオの核になるのは『普通』ということ、『特別』ということ。
 玲愛が本店へと戻ることになり、瑞奈がチーフ代理に。だがその重圧に押し潰されてしまい……という流れ。
 仁の支えになれるのは、『普通』な自分ではなく、才能ある『特別』な玲愛や里伽子。そんな彼女の思いが火種になります。
 努力することで、才能があっても努力しない人には勝てる。だけど才能があって努力する人には……って思うのは共感できます。
 そこから立ち上がる彼女はやっぱり格好良く思えましたし、良きライバルにして恋人な関係になる展開は好きですね。

 エピローグは、三年後、二人でここから始めるファミーユ。
 抱きしめる瑞奈と、彼女の悪戯っぽくて、どこまでも優しい笑顔。


沢崎 美緒

『取ってもらうからな……あんたが自分勝手にあたしを巻き込んだ責任、
一生かけて、償わせてやるから……っ!』


 新ヒロイン。ファミーユに出入りする、『沢崎珈琲』の営業さん。
 コーヒーの知識・技術は超一流で、学生時代の大会で新人王を取るほど。
 男勝りで気さくな性格で、かすりとは同い年の友人。

 最初から好感度は高めです。さりげなく仁へアピールするのが可愛らしいですね。
 仁が見たいならとファミーユ制服を恥ずかしながらも着るのは転げ回りました。

 シナリオは、彼女が本当に望んでいたこと。
 彼女の味覚障害が明らかになってからは一気に面白くなりますね。伏線の使い方が上手いです。見事引っかかりました。
 バリスタとしての誇りがひび割れた美緒の絶望、里伽子への嫉妬、姉である都の願い、そして美緒の望みなど、
非常に読ませるシナリオでしたね。面白かったです。

 エピローグは、閉店した『sawa』にて、また再び分かり合えた姉妹。
 差し出されたコーヒーに味は無くて、けれど、どうしようもなく温かい。


花鳥 玲愛

『生クリームと、シャンペンと……ちょっと、タバコの味。タバコ、やめて欲しいな……やっぱり』 

 ファミーユの真向かい、『キュリオ三号店』のチーフウェイトレス。真面目を絵に描いたような人。
 ファミーユの店長である仁に対しては敵愾心をあらわにしてくる。

 金髪ツインテール+ツンデレという物語中最も恵まれた属性を持つ人。キャラとしては一番好きですね。
 個別シナリオに入ってからのデレモードが凶悪。
 『ただの敵』から『共に高めあうライバル』、そして『恋人』へと変化していく関係は見てて微笑ましかったです。

 シナリオはあまりにもまっすぐで真面目で融通の利かない彼女だからこその葛藤。
 作中でも唯一といっていい由飛の姉らしさや里伽子の策士振りなど、見所の多いシナリオです。

 エピローグは新生ファミーユの前での新たな門出。彼女の左手で輝く指輪。


風見 由飛

『だから今、私の前にいるあなたに…、感謝と、憧憬と、全身全霊の愛を込めて…』

 開店前夜に仁と出会い、そのままファミーユのスタッフとなる少女。玲愛の義姉。
 
 歌いながら注文取るのは接客業としては正直どうなんだろうなーとは思いました。

 シナリオは由飛のピアノと、玲愛との絆がテーマ。
 由飛がファミーユに来た理由、玲愛との確執の理由が明らかになるシナリオです。
 玲愛が非常に格好いいです。姉のためにもう一度鍵盤に向かう姿に、ちょっと目頭が熱くなりました。

 小説では「自分と同じくらい出来ると思っていた玲愛が失敗したのにショックを受け、その部分を寸分違わず弾けなくなってしまった」という描写がされていましたが……無理がありません?
 ちなみに小説だとクリスマスに仁告白、そのままえちぃ→ベランダにて玲愛からのキス→由飛シナリオ→そのまま由飛、フランスへ行き、出番終了→玲愛エンドと、わりかし不遇だったりします。

 エピローグは音大の卒業式にて、精一杯の想いを込めた、仁のために送る歌。
 作詞・作曲、花鳥由飛。曲目――『つまんない恋』。


雪乃 明日香

『じゃあ、教えて? キス……教えて?』

 ファミーユのフロアスタッフ。仁の家庭教師としての教え子。
 せんせ、やてんちょ、といった舌っ足らずな台詞が良い感じに可愛いです。

 シナリオは明日香の受験。このシナリオでは仁が格好良いですね。
 相手が好きだからこそ、強く想うからこそ突き放すことになる終盤の流れは好きです。
 
 でも学園祭のやり取りでの……

『……お願い。助けて……助けててんちょぉ…』
『了解』
『え……?』
『ごめん……連絡取る前に出てたんだ。……信用して無いみたいで、ごめんな』


 ……確実に狙ってるんじゃないかなー、と思ったのは絶対に自分だけではないと思います。自分が女なら惚れますよ? こんなことされたら。

 エピローグは一年後、同じ大学への道を一緒に歩く二人。
 恋人と紹介されての笑顔は本当に可愛いです。


涼波 かすり
え〜〜〜ッ! わたし、男の人とつきあったのって仁くんが初めてだよ〜?

 ファミーユのパティシエール兼フロアスタッフ。

 シナリオはかすりのパティシエールとしての成長。
 ……他のヒロインと比べるとどうしても微妙な感じが。サブとしては非常に良いんですけどね。美緒シナリオとか。
 お菓子作りの天才である姉や恵麻に認めてもらうために奮闘したり、恵麻と対決するためにキュリオに移籍したりと割と見所の多いシナリオだとは思うんですが、どうにもこのルートでは仁がヘタレに感じたのが大きいです。

 個別ルートに入り、いきなり関係を持つ→自分はかすりさんのことをどう思っているんだろう?→そのままずるずると……といった展開は正直頂けなかったです。

 エピローグはそれぞれのファミーユへと向かう『店長』二人。
 往来でストロベリートークをかますバカップルたち。


杉澤 恵麻
 
『良くない! 仁くんのためには、姉ちゃんじゃ駄目!
 …けど、けど……仁くんが、欲しいよ…っ!』


 ファミーユの総店長にしてメインパティシエール。仁の義姉で、亡兄の妻だった人。
 

 シナリオは、血は繋がっていなくても『姉』と『弟』であることへの葛藤。
 それまでのシナリオでのダメな姉から一変してシリアスな内容が展開します。人によっては結構引くんじゃないでしょうか。

 仁の兄と結婚したのは『仁の代わり』だったから。
 そうして彼女が望んだのは、仁の温もりという、たったそれだけのこと。
 正直、最低な理由だと思います。けれど、彼女にとっては最上の選択肢だったのだとも思います。

 エピローグはもう一度仁・恵麻・里伽子で始めるファミーユ。そして里伽子から恵麻への宣戦布告。
 ……最後の最後で里伽子が美味しい所を全部持っていったような気がします。
 仁のために『傷』を克服した執念も含めて彼女は強いな、と。


夏海 里伽子

『ごめんね、戻ってこれなくて……お店、手伝えなくって、ごめんね。
チーフ、だったのに、責任果たせなくなっちゃって、ごめんねぇ……』


 仁の大学での同級生、以前のファミーユにおけるチーフウェイトレス。
 就職活動が忙しいため今回のファミーユへの復帰は断っているが、影からのサポートは惜しまない。

 『パルフェ』という物語の真のヒロイン。
 彼女のシナリオでは「何故コンタクトをしないのか」「何故仁と一緒に食事をしないのか」「何故地味な服しか着ないのか」…そして「何故、他シナリオで率先して里伽子は仁の恋の鞘当てとなることを望んだのか」といったそれまでの全ての疑問が明らかになります。
 シナリオの核となるのは里伽子の背負った絶望や孤独、それに対する仁の贖罪でしょうか。
 この作品で私が最も感動したシナリオですね。というか力の入れ具合が明らかに他と違いすぎますね。

 ……里伽子がファミーユに戻らなかったのは、仁のことを好きなのに振ったのは、火災により利き腕が動かなくなったから
 そうなった遠因は仁にありますし、普通ならば絶交モノです。
 それでも、憎悪を抱きつつもずっと仁の側にいて力になっていたのはただ、仁のことが好きだったから。愛しているから。

 ……あまりにも良い女過ぎますね。『聖母』と仁は評していましたが、まさにその通りだと。
 それまでに撒いていた伏線の使い方も上手かったですが、それまで淡々としていた里伽子がその感情を爆発させ、
『傷』の告白をする場面では衝撃を覚えました。
 ラストでの里伽子説得からエンディングまでの流れはこの作品で一番好きですね。最も心にキました。
 
 エピローグは治った左手で子を抱く里伽子。
 CGではノーマルエンドと変わりありませんが、そこに至る過程を考えればその重みは段違いです。

 『本当にしょうがねえなあ、里伽子は…』

 このシーンでの仁のこのセリフと合わせて、号泣しました。

 正直、里伽子をクリアすると他のシナリオを見る目は複雑になりますね。
 その『傷』を抱えて他のヒロインと結ばれるのを協力する彼女は何を思ったんでしょう。


沢崎 都

 ――私も、あなたの姉でいられて……本当に、幸せだった。

 美緒の姉。喫茶店『sawa』店長。理知的で、冷酷な印象を与える女性。
 美緒シナリオのみのサブキャラ。いい具合にシナリオを引き立たせてます。
 
 初め辺りでは印象はかなり悪いですが、後半になるにつれて逆転しますね。
 冷たい仮面の下の顔は、ただ妹を愛している人。
 どんなに冷たくても、たとえどんなに人から恨みを買ったとしても、彼女が思っていたのは美緒のことです。
 たとえ本人から嫌われていたとしても想い続けるその姿は立派な姉だと思います。
 
 美緒エンディングは彼女が独り占めしてます。地の文までボイスあり。
 主人公がほとんど話さないエピローグは初めてですねー。美緒と彼女に主眼を置くならこれは正解だったと思いますが。


えちぃ
 ……ないですよ? コンシューマーですし行ってキスまでです。直前のCGがムービーにありましたけど寸止め。

『――無いのなら書けば良いんじゃないの』 マリー・はづトワネット。
 
 ……と、いうわけで機会を見て書いていこうと思ってます。
 方向性としては甘く、えっちい感じで。


総評
 改めて……心から温かいと、そう思わせてくれた作品。
 『パルフェ』という物語の素晴らしさを実感させてくれましたね。
 新キャラについても予想を大きく超えてくれた出来だったので大満足でした。新ボイスの方は……まあ、気分を変えるときにでも。

 とりあえず、差し当たっては……フィギュアとタオル、どうしましょう?

 ・追記…瑞奈・美緒シナリオ終了時点で書いたため、他のキャラのシナリオで変わったこととかあれば後で書き直します。



もどる