FairlyLife


逆立ちしてたら見えない空。でも時折、目を背けたくなる。
主人公・高岡 晃範は、そんな性格だった。

腐れ縁の山南 南と一緒に登校した朝、南の差し出す携帯電話から流れるニュースに耳を疑い、晃範は空を見上げていた。
一筋の白い帯を真っ直ぐ空に描いて、それは落ちてくる。
もうもうと上がる煙の向こうで、頭を抱えて縮こまる人工衛星の女の子・高岡 あさがおが――

本人は人工衛星で、晃範とは知り合いだと言うが到底信じられない。
南と晃範は、あさがおの言葉の真偽を確かめるべく話を聞くことになったが、その過程で晃範はある事実を知る。
本人としては忘れてしまいたい黒歴史。だがそれが、あさがおと晃範を結びつける確かな証拠だった。

あさがおの望みである“晃範の平和を守る”という行為を認めると、さらに次々とモノが女の子に……。
痛む胃を押さえつつ、晃範はやはり目を背けたくなった――。


≪シナリオ・プレイ感≫
 にぎやか過ぎる面々と過ごすドタバタな日常を描いた話。
 ライターは川波無人氏、モーリー氏、Hatsu氏、なたけ氏、風雅氏の5名。

 いつもながら原画はクオリティ高くて良い感じだと思いますし、(一部除いて)キャラの立て方や萌え要素についての描写もそれなりに出来ていて、そういう面ではそう悪くはないと感じたんですけど、個人的にはプレイしていて微妙に楽しくなかったっていう印象が強かったですね。



 シナリオについては薄めですね。イベントがその間の話をやることなく(例えば学園祭開催決定する→次の場面ではもう学園祭当日といった感じで)終始だらだら続いていくため、いまいち盛り上がりに欠けていて。まあ、HOOKはまったりシナリオの中のキャラ萌えを楽しむとこだと思いますし、部分毎の萌えは良いのでここはそれほど問題ではないでしょう。

 ただ、プレイしていて何度も感じられて個人的に評価を落とす要因になったのは、構成に難があり、作品の雰囲気がどうにもちぐはぐに思えたからでしょうか。
 『重力無限大!全力どたばたミラクルラブコメADV 』とジャンルにも謳っているように、人工衛星が体育館に落ちてきたりモノが擬人化したり擬人化した彼女達を抵抗なくみんな受け入れたりと基本的に何でもアリなドタバタコメディ路線なノリで話が進んでいくんですけど、妙に真面目というか、コメディだったらコメディで貫けば良いところに現実的なノリを挟んでくるせいで水を差してるように思えましたね。そりゃまあ、ある程度のシリアス要素はシナリオにメリハリ付ける意味でも必要だと思うんですけど、これの場合はちょっとコメディとシリアスの配分を間違ってるような。
 また、主人公が結構常識人寄りなのもノリを悪くしてる感がありましたね。イベント発生する→胃痛発生するような苦労人キャラと、楽しんでる感が薄い気がして。この路線にしては食い合わせ悪かったように思えました。

 あと、擬人化ネタなんかからも分かるように、世界観が過去作である『LikeLife』と同じであり、前作ネタが挟まれたりもするんですが、あれでの欠点だった地の文での描写の少なさまで引き継いでいるため、いまいち状況が読み辛いですね。テキストのほぼ全てがセリフのみで描写されており、真情や情景の描写は十数クリックに1、2回程度と非常に少なくなっていて。
 少ない分良くも悪くもテンポは良いですし、効果音や演出で何が起きてるか理解は出来るんですけど、それでもやはり置いてけぼりにされる面はあったように思います。



 で、それ以上にプレイしていてのマイナス要因になってるのは、一部キャラの動かし方が非常に悪く、不快にさせられること。具体的にはメインヒロインである南と風紀委員の貢献度がものっそいです。
 
 まず、日記でも触れましたけど、自分勝手過ぎるのがかなり目に付いてうざったく思えましたね、南は。
 面白そうだからという理由で何かしらイベントを思いついておいて、その企画運営その他もろもろ全て主人公や他ヒロインに丸投げして、一切責任を負わずにそれすら押し付けてきてと。
 そうして他人任せにしている横で自分は好き放題に行動して、その結果他の生徒を怪我させたり器物損壊しようと『自分が楽しいなら他の人ももちろん楽しい』と本気で信じきってそれが迷惑なことだと思いすらしないという……。
 おまけに何か起きる度、元凶である生徒会長ではなく無理難題を押し付けられた側である主人公の方を何故か他のキャラたちが決まって責め立ててくるから理不尽さに不快感が募りましたね。前作でもそうでしたけど、HOOKはヒロインの責任は言及しないくせ、主人公にはその分押し付けるきらいがあるような。

 『唯我独尊で他生徒を引っ張っていく生徒会長』っていうのはままあるネタですし、それ自体は別に良いんですけど、それは自分のやることにきっちり責任を持つから成り立つキャラであって、責任も取らない、反省もしないようなバカを据えるものじゃないと思うんですけどねー。
 奔放にしつつも締めるところはしっかり締めるだとか、ブレーキ役を用意して暴走寸前で止めるだとか、そういったフォロー一切無しで最初から最後、どのヒロインのルートでも頻繁に出てくるものですから鬱陶しいことこの上ありませんでした。ポジティブシンキングも度が過ぎると考え物。

 で、南ほどではうざったくはないにせよ、風紀委員の方も作品の雰囲気を壊す要因になってたように感じました。委員長である冬子は除きますけど、それ以外、真鶴とその取り巻きの存在が作品にそぐわなくて。
 主人公たち生徒会に敵対する存在っていうのは良いと思います。ですけど、そうして向けられる感情がコメディ路線な作品らしい、見てて笑えるというか、敵ではあるけど憎めないというか、そういった類のものでなく、ガチの悪意っていうのは何か違うと思うんですが。
 出る度出る度空気も読まず理不尽に責めてくるような、やってて不快感を与えるばかりでプラス感情を覚えられないような悪役をこういう作品で出す意味が心からよく分かりませんでしたね。

≪グラフィック≫
 原画家は松下まかこ氏、らっこ氏の2名。
 CGは全110枚、差分は1〜10枚ほど。

 この面に関してはいつも通りかなり良い出来なんじゃないかと思います。特に問題は無く、立ち絵・CG共に概ね安定しており、可愛らしく描けてましたね。

≪サウンド・ボイス≫
 ボーカル曲は橋本みゆき嬢で『FairlyLife』、『ソラ』、『笑顔にかえて』の3曲。
 BGMは全31曲。
 各種曲調揃ってますが、特に多いのは作風に合った明るめでテンポの良い曲調のものですね。出来については極端にレベルが高いのはないにせよ、安定した水準を保っており、概ね良かったと思います。

 ボイスについても特には問題無かったかと思いますね。キャラに合った演技をされてます。

 あと、地の文が無い分、それを補う形で効果音が結構多めなんですが、かなり頻繁に挿入されてくるため個人的にはうるさく感じるところはありましたね。

≪システム≫
 フルインストールで3.56G、ディスクレス起動可。
 プレイしていて必要なのは揃っていますし、概ね問題は無かったですね。結構システムも設定出来ますし。
 ただ、『前の選択肢に戻る』があるなら『次の選択肢に行く』もあって良かったような。共通部分が結構多い作品ですから尚のこと。

≪えちぃ≫
 シーン回想は全22シーン。内訳は南:4、あさがお:4、未来:4、弓月+α:4、優:4、頼子:1、加奈子:1。

 シチュとしては全シーン和姦ですね。たまにヒロインの方から責めてきてっていうのもあったりですが、基本的にどれも双方同意の元での和姦です。
 プレイ内容はキス、愛撫、フェラ、パイズリ、自慰、手コキ、足コキ、各種体位といったところ。概ねオーソドックスなのを取り揃えた感じですね。某キャラで3Pがあったりしますが。

≪総評≫
 ライターがどんな世界を描きたいのかが良く分からない作品ですね。
 コメディ調な割にはやたらと現実感を絡めてくるために楽しいはずの雰囲気に水を差していて興醒めだったり、一部キャラの動かし方が下手で不快感が募ったりと。
 それ以外のキャラやCGは良いのでキャラゲーとしてはそう悪くはないですが、体験版でその言動に疑問を覚えたならスルーするのが賢明かと思います。

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